
●「歴史教科書・一発不合格」って、文科省が赤く染まっていたわけ?
(宮崎正弘氏の書評)
日本最大のメルマガ「宮崎正弘の国際情勢解題」令和2年(2020)6月10日(水曜日)通巻第6529号に掲載された『検定不合格 新しい歴史教科書(中学社会)』(自由社)の書評を転載させていただきます。
お褒めにあずかった部分こそがまさに検定で執拗に攻撃された箇所でもあります。
こういう教科書が通ることを絶対に阻止するために、デタラメな検定意見の水増しをおこなったのです。(以下、転載)
【自由社版の中国歴史教科書が文科省の検定で、不合格となった。
その市販本である。
しかし、いったい何が不合格の理由だったか?
大きくは次の項目だという。
仁徳天皇陵は天皇が「祭られている」としたところ、「葬られている」に直せ、聖徳太子は「厩戸王子」だけで宜しい、「通州事件」を記載することは「侵略」印象を損ねる?
こうした理由は外国の基準なのか、検定官には祖国への「愛国」という精神はどこにもないではないか。
ならば、合格した教科書に問題がないのか、と言えば、問題だらけである
日本神話を軽視もしくは無視 東京書籍、教育出版、日本文教出版、山川出版。
秀吉の朝鮮出兵は「侵略」 東京書籍、教育出版、日本文教出版、山川出版。
徴用工・慰安婦は強制連行 東京書籍、日本文教出版、山川出版。
南京虐殺は「あった」 東京書籍、日本文教出版、帝国書院、山川出版。
日本の歴史は差別の歴史 帝国書院、東京書籍、日本文教出版。
そもそも世界の常識的な歴史教科書は、自国の歴史に誇りがもてるように愛国心がしっかりと培養される工夫がされ、自国を好きになる物語、解釈がなされる。
英雄が物語の基軸にある。
戦前の国史教科書をかつてこの欄で紹介したが、まさにそうだった。
不合格の烙印を文科省の左翼検定官がなしたが、自由社版には次のような特色が顕著にある。
すなわち他社の教科書とは異なって、日本の歴史を誇りとできるような記述が多いのである。
神武天皇以前、縄文時代の平和を明記しており、縄文土器16000年前を明示した。
年代の古さを従来の教科書は曖昧としてきた。
日本文明が未熟で未開だという印象を植え付けようとしてきたのだ。
縄文時代はこう表現されている。
「一万年あまり続いた縄文時代は、自然との共生、人と人との和をもとにした、持続可能な安定した社会をつくっていました。
この時代に日本人の穏やかな性格と日本文明の基礎が育まれたと考えられます」
(31p)。
さらに神話にページを多く割いた自由社版は弥生時代からの戦争を区別しており、神武天皇はたしかに実在したことを教えている。
また白村江に関してもこういう書き方だ。
「半島南部が唐の支配下に入ることは、日本にとっても脅威でした。
百済は、国を再興するための救援を、朝廷に求めました。
日本と三百年の親交がある百済を助けるため、大和朝廷は多くの兵と物資を百済に送りました」(50p)
魏志が日本を「倭」と蔑称したことに関しても、自由社版はこう言う。
「『倭』という漢字は「ゆだね従う」「背が曲がって低い」などの意味をもち、どう見ても立派な国名とはいえません」(52p)。
遣唐使廃止は客観的にのべ、建武の中興も『建武の新政(建武の中興)』という表現になっている。
二宮尊徳、石田梅岩の復活があり、八田與一や三島由紀夫が登場している。
秀吉の朝鮮出兵は侵略ではないことも客観的に記述し、たとえばキリスト教の侵略を未然に予防する目的があり、東アジアの国際秩序建設だったと従来の「侵略」説に疑問附を投げかけている。
また近代国家の礎として五箇条の御誓文を明示していることは意義が深い。
【新しい歴史教科書をつくる会・藤岡 信勝 副会長の投稿から頂きました。】


