
「新しい公民教科書」文科省検定の「見える化」-7 です。
ここからも文科省調査官の思想汚染がいかに進んでいるか、窺い知ることが出来ます。
小山ブログを要約しシリーズでお伝えしています。
その7 間接民主主義を強調して書いた。
しかし?
『新しい公民教科書』は、直接民主主義の危険性を意識する立場から、「その6」で述べたように間接民主主義を日本国憲法の7原則の中に入れている。
間接民主主義をとっていても、ナチスのように、そこから全体主義が生まれる場合はある。
しかし、直接民主主義よりは、その危険性が少ないことは確かである。
西欧政治思想史を扱った単元17「立憲的民主主義」の中から、間接民主主義を推奨した部分を引用しよう。
◆ 検定申請本
「間接民主主義では、国民を代表する政治の専門家(職業政治家)が、冷静に論理的に議論を行い、異なる意見を調整しながら長期的、公共的な利益をはかって結論を決めていくことになっています。
ですから、間接民主主義の方が、専制政治を防ぐために生まれた立憲主義にふさわしい方法なのです。
こうして、法治主義、権力分立、権威と権力の分離、基本的人権の尊重とともに、間接民主主義が立憲主義の重要な要素となったのです。」
◆これが調査官の機嫌を損ね検定意見が付いた。
「間接民主主義の方が、専制政治を防ぐために生まれた立憲主義にふさわしい方法」だとストレートに述べた。
これが直接民主主義の大好きな調査官の機嫌を損ねることとなり、何度も書き直させられることとなった。
調査官にとっては、立憲主義にとっての有用性は直接民主主義も間接民主主義も同等のものであるようだった。
◆修正後
「近代国家では、間接民主主義は、直接民主主義と比較した場合、冷静に論理的に議論を行い、異なる意見を調整しながら長期的、公共的な利益をはかって結論を決めていくのに適しているとされます。
ただし、近代国家でも、間接民主主義を原則としつつ、国民自身の意向を直接反映させるために、国民投票などの直接民主主義的な方法が併用されています。
こうして、法治主義、権力分立、基本的人権の尊重とともに、間接民主主義が立憲主義の重要な要素となりました。」
◆検定後の感想
何とか、立憲主義の一要素として間接民主主義を数えることができたのである。
しかし、これに対して、この西欧政治思想史を述べた部分では、立憲主義の要素から「権威と権力の分離」が排除されることになった。
「権威と権力の分離」が大嫌いな調査官によって削除されたのである。
何とも残念なことであった。
ともあれ、象徴天皇の原則と間接民主主義の原則を含む7原則を掲げている『新しい公民教科書』は極めて貴重なものと言わねばならない。
以上
皆様へ、
このように日本の教科書は、文科省の調査官の横暴なる主観によって、歪められるのである。
そして、偏見に満ちた文科省調査官の最も嫌がるのが、自由社のまともな「歴史教科書」なのである。
今回、理不尽にも「一発不合格」にさせられ、このようなやり取りさえも出来なかったのである。
私は、5年前の「歴史教科書」の検定意見のやり取りの現場に参入したこともあるので、今回の文科省による不正事件は、余計に許せないのである。
萩生田文科大臣は、このような現場を知る責務を持っている。
大臣特権も持っているのであるから注視すべきである。
その点、町村文部大臣は、文部大臣としての仕事をした。
教科書に、歴史の偏見がないように、きちんとメスを入れたのであるから。
素晴らしかった。
【歴史市民塾・澤井コンサルタント事務所代表の投稿から頂きました。】


